熊野古道

◇山行日  2023年10月24日~10月29日

◇参加者  FU  KA KU HN BA (計5名)

 

◇アクセス・コース

1日目:八王子駅—新横浜—新大阪—紀伊田辺—バス—滝尻(宿泊)

2日目:滝尻7:40—16.8km—16:30継桜(宿泊)

3日目:継桜7:15—19.9km—16:30湯の峰温泉(宿泊)

4日目:湯の峰温泉7:30—3.4km—熊野本宮大社—13.0km—16:00小口(宿泊)

5日目:小口7:30—14.5km—那智大社—バス—那智駅—JR—新宮駅—1km—那智速玉大社—1km—新宮駅(宿泊) (2~5日目の総歩行距離:69.6km)

6日目:新宮駅—伊勢神宮—名古屋駅—新横浜駅—八王子駅

◇感想

10月24日 新大阪-à紀伊田辺駅、バスで滝尻に。熊野古道館を見学、いきなりサービスが最低レベルの民宿に投宿となった! 明日に備えて8時に就寝(FU)

熊野古道 ― 10月25日 滝尻王子~継桜王子 距離:16.8KM

中辺路の起点の滝尻王子からスタート。古道は社の左側から延び、いきなり急登の連続で、あっという間に汗が吹き出す。「胎内くぐり」と呼ばれる岩、「乳岩」と呼ばれる巨岩等を過ぎ、出発から2時間位で「高原霧の里休憩所」に到着。視界が開け、果無(はてなし)山脈が面前に連なり、稲刈りの済んだ棚田が眼下に広がり、小さな水車小屋の水車が廻り、文字通りの日本の田舎の風景。高原の数軒の民家の脇を登り高原池方向に向かう。途中で3~4センチほどの鮮やかな橙色のカニが古道を横切っているのを見る。沢から離れた道でしばしば散見するので、後日地元の林業の方におききすると、水の流れの無い所で生息するカニとの事。

古道の左右に広がる手入れの行き届いた杉と檜の植林の間の平坦な道、つづら折れの上り坂、小石で滑りやすい下り坂を辿り、500メートル毎に設置の道標23番(起点の滝尻王子は1番)で国道311号と交差する。朝7時40分にスタートから7時間が経過し、脚と足に不安があるので、福田さん他の方々の了解をいただき、私だけ離脱して、当日の宿泊先の継桜近くまでバスで移動する。バスで「野中の一方杉バス停」迄移動し、宿泊先の「民宿つぎざくら」に4時半頃到着し、ご主人から宿の案内をお聞きしているうちに他の方々も到着し、この日の行程を無事終了。 

民宿は築100年の御主人の実家を改装したそうで、宿泊客の9割は外国の人々で、口コミで評判がつたわっているそうです。 食事はご主人の創作の日本料理のコースで、事前にネットで評判を観ていましたが想像を遥かに超える料理で、檜のお風呂、清潔で行き届いた設備、ご夫婦の心のこもった対応等、とても民宿とは思えない素晴らしさで、近いうちに再訪するつもりです。中辺路は「蟻の熊野詣」といわれるほど賑わったそうですが、当日出合った日本人は一人の宿泊客のみで、あとは全てが外国人で、楽しそうに歩いているのが印象的でした。(HN) 

10/26(木)熊野古道中辺路2日目

桜継王子~湯の峰温泉 峠越えを繰り返しながら温泉宿を目指します。

歩行距離:約20km 高低差:約600m 所要時間:約8時間

広がっては流れる雲海を見ながら朝ごはんをいただきます。 バランスのとれた豪華な和食で体も脳もバッチリ。7:40さあ出発! 3kmまでは、ほぼ平坦な舗装道路です。ゆっくり歩きます。あとは、お宿まで未舗装道路区間です。2kmほど進むと、本来の古道は2011年の台風の被害により閉鎖、案内に従い迂回路に入ります。3.8kmのこの迂回路コースに本日の最高地点、山頂700mが待っていました。 結構な山道でした。本来の古道に合流すると、(熊野古道は案内が完璧です。) 2km弱歩いて12:20、次の峠でお昼ごはん、民宿つぎざくらのお弁当です。高菜で巻いたおにぎり、めはり寿司が入っていました、やったぁ! さあ後半、4kmほどで赤城越分岐です。 熊野古道は多雨地帯で照葉樹林が多く、苔の石畳に何度もびびってしまいました(わたしだけ)。 分岐に到着しました。湯の峰の向を指で示す、あっち向けホイ!のような石の道標がありました。江戸時代後期に彫られたようです。残るはあと6.7km。ここからは熊野本宮大社へのルートではなく、温泉目指して赤木峠へと進みます。しばらく進むと景色が一変します。自然林が多く下草も茂り、風通しが良いのでハイキングのようです。 がしかし、終盤にきての地獄坂と呼ばれる下り坂は、しんどかったです。(これもわたしだけ) そして・・・かすかに漂ってきました。世界遺産に登録された『つぼ湯』のある湯の峰温泉はもう目の前。 今夜は、硫黄泉のあずまや荘で、しばし旅の疲れを癒します。最後に、楠熊の意思を継ぐ人々によって残された熊野の森を皆で歩くという機会に恵まれたことに感謝します。(BB)

10月27日(金) 湯の峰温泉-「大日越」-熊野本 宮大社-「小雲取越」-小口 約16km(バス距離を除く) 湯の峰温泉から3名で「大日越」で熊野本宮大社を目指す。2名はバスで向かう。「大日越」は距離約2kmであるが、本格コースで急登・急坂である。古道山行3日目で、疲労が残り、寝ぼけ眼(まなこ)で無心に歩く。大斎原(おおゆのはら)の大鳥居をくぐり、本宮大社は厳しい中辺路を経て最初にたどり着く聖地である。5名が合流し、参拝を告げる太鼓の音に導かれ、厳かな気分で参拝する。その後、国道歩きはバスで短縮し、下地橋から「小雲取越」(約13km、積算上昇670m,積算下降690m)を歩くが、今日はやや楽な行程である。天気が良く、展望の良い所もあり、体はきついがこなせる。午後4時前に「大雲取越」に繋がる「小口自然の家」に着く。30数年前まで中学校であった建物を改装し、20数名が宿泊できる。今日は、日本人は私達だけで、多くの外国人と過ごした。夕・朝食は学校給食を思い出すような爽やかな食事で、広い洗面所、広いお風呂、たくさんのトイレなどがあり、順番待ちで過ごすことなく、開放的で清潔な雰囲気の宿であった。後日、再訪したい「小口自然の家」である。(KU)

(たき)(じり)から歩き出して4日目、この日の歩程は、小口(こぐち)から熊野那智大社まで。ガイドブックによれば、距離14.5km、

歩行時間7~9時間、積算上昇高度1260m。(大雲(おおぐも)(とり)(ごえ))と名付けられ、中辺路(なかへち)のなかで、最難所のようだ。エスケープルートも無く、リタイヤ出来ないとある。幾分の不安と、連日の疲労感を覚えながら、久保さん、半田さん、馬場さんに見送られ、7時前、宿を出た。今日一日は、福田さんとの二人道中である。予定よりも早く、標高800mを超える越前峠に登り着いた。その後はアップダウンを幾度も繰り返し、熊野那智大社を目指した。昼前に舟見峠のベンチで短い昼食を摂る。静かな熊野灘が見下ろせた。このままの歩行ペースを保ち、明日予定していた、熊野速(くまのはや)(たま)大社(たいしゃ)参拝も今日、済ませる事にした。明日の朝は少しゆっくり出来る。1時30分頃、那智大社に着き、礼拝。映像で目にした那智の滝もそこにあった。滝下まで歩き、バス、電車を乗り継ぎ、新宮駅へ。そして熊野速玉大社の参拝も無事終えることが出来た。今回、熊野三山に向かう参詣道、熊野古道のひとつ、中辺路を歩き通すことが出来、長年の夢が叶った。世界遺産に登録されていること、しかもベストシーズンでもあり、ここを歩く多くの外国人(登山者)の数に驚き、同時に日本人の少なさに寂しさも覚えた。往時は「蟻の行列」とも言われた程の多くの人々が、三山を目指した事を思うと、時の流れを感じる。街道脇には見通せぬほどの杉並木が果てしなく続き、所々にみられる集落跡。地蔵尊、主を無くした茶屋、墓地跡、朽ち落ちたまま、苔むした廃屋等など。当時の山の暮らしが見られた。時間が許せばじっと立ち止まっていたいとも思う景色だった。この感情は外国人とは違う気がする。私は今、高い山を登頂した達成感とも名所を観光した満足感とも違う不思議な感覚に満たされている。企画して下さった福田さん。同行の久保さん、半田さん、馬場さん、有り難うございました。(KA)

10月29日 

熊野古道中辺路を完歩した後の最終日は、伊勢神宮に参拝して帰宅である。外宮はそれ程ではなかったが、内宮は非常に多くの参拝者がいた。時間の関係もあり、駆け足で参拝し名古屋駅に移動。新幹線で帰宅の途についた。4日間の結構厳しかった山道歩き、変化に富んだ宿、色々なそして楽しい会話、そして外国人の多さに驚いた6日間であった。長く記憶に残るであろう味わい深い山行になりました。皆さん、お疲れ様でした、そしてありがとうございました。 (FU)